最近のがんのニュースは、がんの死亡率は減少しているとの記述が多い。これはがん治療の進歩だと書いてある。これは本当だろうか。国立がん研究センターのがん統計グラフによると、全がんの死亡数、罹患数とも増加している。ところが、この統計の下側に年齢調整グラフが掲載されており、このグラフを見ると罹患率は増加しているが、死亡率は減少している。年齢調整とは、現状は老人比率が高いから、昔の老人が少ない時期の年齢構成で修正したものだそうだが、これは、年齢調整を使った一種のトリックだ。
国立がん研究センターの25種類のがん統計グラフの中で、死亡数が減少しているのは、胃がん、肝臓がん、胆管がん、喉頭がんの4つのみで、他の21種のがんの死亡数は増加している。したがって、現状のがんの死亡総数は増加し、かつ人口は減少しているので、全体のがん死亡率は増加している。年齢調整死亡率のトリックにだまされてはいけない。